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2024年問題とサッカー

Writer: Kenta AdachiKenta Adachi

何かを別のものに例えてみると、うまくはまれば、わかりやすくなったり、新しい発見につながったりする。



先日、とあるメディアから「物流分野に特化した投資をされている専門家として、ぜひ、2024年問題をどう思っているか、聞かせてください」という質問を受けた。


私はそれに敢えて直球で答えず「物流って、サッカーに例えると分かりやすいんですよ」と回答した。



ちなみに物流業界における2024年問題とは、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間の上限が年間960時間に制限されることにより、業界全体として輸送能力が落ちてしまうこと、である。これまで届いていた荷物が届かないこともある、まさに大問題である。ちなみに、一口で輸送と言っても、実に多くの物流関連事業者が連携しており、その連携網の1か所でも滞ると、輸送全体に影響を及ぼす、という側面も見逃せない。



「これまでの物流業界はアディショナルタイムが無制限にあるサッカーだったと考えてみてください。前後半90分の中で点を必要な点を取り切れなくても、無制限にあるアディショナルタイムの中で、必要な点に達するまでがんばればいい、という発想ができたんです。そうしたサッカーで勝てるのは、とにかく体力が強いチーム。何時間でも走れます、という屈強なプレイヤーが多いチームが勝っていきます」


「ところが、アディショナルタイムは最大で5分です、とルール変更が起こった、というのが2024年問題だと思っています。そのようにルールが変わったサッカーにおいて、どういうチームが勝つと思いますか?」


「無制限に走り続けることができる体力よりも、より短いゲーム時間内に効率よくたくさん点をとることができるチームが勝つわけです。こうなると、チーム運営方針ががらりと変わってくる。ものすごいインパクトですよね。それがまさに物流業界で起こっていることなのだと思います」



「アディショナルタイムが一気に短くなったという変化を乗り越えるための方法は大別して2つあり、1つは個々人のプレイヤースキルをレベルアップすること。トラップやパス、シュート等の精度をあげる。それで限られた時間内で点を増やすことにつなげるわけですね。物流業界においては、物流関連事業者がそれぞれ物流システムや自動化ソリューション等を導入して、各社の輸送能力をあげるということです。個別最適というやつですね。このチャンスを取り込もうと、たくさんの物流関連サービス・システムプロバイダーが奮闘しています。新しいチャンスということで、スタートアップも多く登場しています」


「もう1つの方法は、個々のプレイヤーの連携を高めること。仮に個々のプレイヤー全員がメッシレベルにまで上達したとしても、それぞれが好き勝手に動いていては、決まった時間の中で効率的に点はとれません。より無駄のないパスルートをつくったり、より無駄な動きがないフォーメーションを組んだり。そうしたことが必要です。ただ、これが言うほど簡単ではなくて、例えば、各プレイヤーが異なる言語を話していたとしたら、意思疎通すらやりにくい」


「実は物流業界、各プレイヤーが異なる言語を話している、という状況に似ていて、各事業者で異なるシステムやデータベースを用いていることが多く、連携しようと思っても、すぐにはうまく連携できない。そこに、業界標準の統一システムを提供して連携を実現しようとする物流システムプロバイダーもいれば、既存の異なるシステムやデータをうまく統合するサービスを提供するサービスプロバイダーもいたり、あるいは企業間連合を組んで各社で同じシステム・データベースを使うようにしていこう、というアライアンスアプローチも起こっています。全体最適というやつですね。ここも新しいチャンスということで、スタートアップが多く登場しています」


「まとめますが、こうして、個別最適と全体最適がからみあって、これまでと同じ、いやこれまで以上の輸送能力を実現していこう、というのが2024年物流問題に対するアクションになっており、そうしたアクションをうまくリード・サポートしていくシステムやサービスを提供するスタートアップがうまれてくるオポチュニティであると、私はとらえています」



上記の例がいい例かどうかはさておき、こうした例えがうまくはまると、問題の本質がわかりやすくなったり、「だったら、こういう新サービスもあるのでは?」といった新しい発想につながったりする。


もちろん、変な例えをしてしまうと、逆にわかりにくくなったり、誤解を招いてしまったりもするから要注意。


例える力をあげるためには、選り好みせずに、いろいろなフィールドの情報に触れるのがいいと思う。すると突然、あ、これはいい例えに使えるかも、という、例えの神様が降臨する(かもしれない)



皆さんは、どう思いますか?

IDATEN Ventures(イダテンベンチャーズ)について

フィジカル世界とデジタル世界の融合が進む昨今、フィジカル世界を実現させている「ものづくり」あるいは「ものはこび」の進化・変革・サステナビリティを支える技術やサービスに特化したスタートアップ投資を展開しているVCファンドです。


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