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Writer's pictureShingo Sakamoto

AI外観検査の国内マーケット状況について

Updated: Mar 1, 2023

最近、AI外観検査プロダクトを提供する企業が次々と登場しています。今回は、国内でどんなAI外観検査プロダクトがあるのか、特徴はどんなところにあるのか、つくっているのはどんな会社か、というのを可能な限り網羅的に見ていきたいと思います。


各社公開している情報はそれぞれ異なり、綺麗に横並び比較するのは難しいですし、もしかすると私の捉え方が実態と少し異なっているかもしれません。一方、イチ顧客候補の気持ちになって、自分がこれからAI外観検査を探そうとした時に、各社こんな風に見える、という情報をまとめておくのも、それはそれで価値があると思います。この記事の最後では、AI外観検査に限らず、こういった情報があると、他社と差別化して見えやすい、という考察もしてみたいと思います。


(Source: https://pixabay.com/illustrations/binary-one-cyborg-cybernetics-1536651/)



AI外観検査の種類


この章では、専門家ではなく、AI外観検査のオーバービューを理解しようとされている方々向けに、深い技術論には踏み込まず、簡単にご説明します。


みずほ情報総研が作成されているレポートによると、AI外観検査に要求されるタスクは3つで、画像分類、物体検出、領域分割に大別されます。多くのAI外観検査はこれらのタスクをカバーしており、「できる」「できない」という点では差別化がつきづらく、精度の勝負になっているようです。

  1. 画像分類 1枚の画像を、どのカテゴリーに分類すべきか判断するタスク。例えば、「良品」「不良品」の2カテゴリーを設定するようなイメージ。

  2. 物体検出 特定カテゴリーの物体が、画像中のどの領域にあるのかを判断するタスク。例えば、「サビ」が金属表面のどこに位置するのかを見極める。

  3. 領域分割 画像中の各画素(ピクセル)に、物体のカテゴリーを推定するタスク。例えば、人間と自動車が写っている画像に対して、人間の輪郭はどこからどこまでか、自動車はどこからどこまでか、という分類を行う。


(参考1. 画像分類の例)

(Source: https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2021/pdf/mhir21_ai.pdf)



(参考2. 物体検出の例)

(Source: https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2021/pdf/mhir21_ai.pdf)



(参考3. 領域分割の例)

(Source: https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2021/pdf/mhir21_ai.pdf)



レポートでも取り上げられていますが、課題として挙げられやすい2つのトピックが、教師データ(不良品データ)不足と、判断の説明不可能性です。

  • 教師データ(不良品データ)不足 製造業において、不良品データというのはそれほど多くありません。例えば、100個のネジのうち1個だけ不良品がある時、教師データとして学習させて精度の高いAIをつくるには少なすぎる場合があります。そこで、比率の多い良品データを学習させ、不良品が出現した時だけ判別する対処法が用いられることがあります。

  • 判断の説明不可能性 製造業に限らず、判断根拠が明示されていない時、ユーザーの抵抗感が強くなる場合があります。そこで、不良部分の可視化や、言語による説明文づくりなど、さまざまな「説明可能AI」構築が模索されています。


早速、次の章でさまざまな企業のAI外観検査プロダクトを見ていきますが、上記2つの課題をどうクリアするか、という点を意識してプロダクト紹介をしている企業がいくつかありました。



AI外観検査プロダクトを提供する企業について


大企業もスタートアップも入り混じっているマーケットですが、「大企業」「スタートアップ」のような区分は定義が曖昧であるため、一律に創業年が古いものから順番にリストアップしていきます。創業年が同じ場合は、あいうえお順とします。また、ある会社の一部門として独立した場合もありますが、その場合は母体となる企業の創業年を採用します。


調査方法は、シンプルですが「AI外観検査」というワードでヒットするページを掲載している企業をリストアップすることにしました。もしかすると見逃しや、ヒットしなかったけれどAI外観検査を行っている企業もあるかもしれませんので、その場合はご容赦ください。



NEC

【創業】

  • 1899年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • プログラミング不要で、AIモデル作成から学習まで実行可能。加えて、ハードウェア連携・アプリケーション画面の作成まで行うことができます。

  • スキャンカメラ、照明機器、制御ロボットなど、インフラに関するコンサル・構築支援があります。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 特に掲載されていません。


日立製作所

【創業】

  • 1910年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 日立独自開発のディープラーニング技術を採用しているようです。

  • 撮影設定〜画像前処理〜ユーザー画面表示設定までオールインワンのアプリケーションHitachi Visual Inspection Application(HVIA)を提供。HVIAと連動するAIソフトウェアの部分がHVISPに当たります。

  • 不良品データが少ない場合や、未知の事象による不良発生においても判定を行うことが可能と記載があります。良品だけを学習させることで、不良品が出現した時に不良判定を行っていると思われます。

【価格体系】

  • 製造1ラインあたり、AIモデル作成サービス費用に加え、月額課金でHVIA10万円〜 + HVISP30万円〜となっており、合わせて最低40万円〜。AIモデル作成費用については、判定難易度によって変わるようです。

【活用事例】

  • 特に記載されていません。


パナソニック

【創業】

  • 1935年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • プログラミング不要で、現場の検査員がAIにデータを学習させることができます。

  • 良品だけを学習させることで、不良品が出現した時に、不良判定を行います

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 金属箔の表面検査が事例として掲載されています。オペレーション時間77%減、不良分類15種→89種という効果が得られたそうです。


コニカミノルタ

【創業】

  • 1936年

【プロダクト名】

  • なし(https://www.konicaminolta.com/jp-ja/digital-manufacturing/ai-visual/)

【仕組み】

  • コニカミノルタが強みを持つ光学分野の知見を活かし、最適なカメラ・照明選定をサポートします。また、X線画像診断・産業印刷で培った画像処理の知見を活かした独自AI技術を使用しているそうです。

  • 不良品画像は必要だが大量ではない、と記載があります。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 樹脂成形メーカーの事例が掲載されています。小さく複雑な形状の部品でも、カメラ・照明の工夫で対応可能にした例です。歩留や生産性向上度についての細かい数字はありませんでした。


HOYA

【創業】

  • 1944年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • プログラミング不要で、現場の担当者がAIモデル作成からデータ学習まで実行可能です。

  • 検査要件の更新に伴い、AIモデルのパラメータに微調整が必要となる場合がありますが、変更を加えるたびにAIモデルのバージョン管理できます。

  • 判定根拠となる画像出力、検査結果をログ出力する機能があり、説明可能性を上げる機能を果たしています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 特に掲載されていません。


インテージテクノスフィア

【創業】

  • 1960年

【プロダクト名】

  • なし(https://www.intage-technosphere.co.jp/solution/services/ai-utility/visual-inspection/)

【仕組み】

  • 撮影についてはシーシーエス社と協業しており、AIモデル開発・実装部分をインテージテクノスフィアが担っています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 特に掲載されていません。


電算

【創業】

  • 1966年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 生産ラインにLED照明と高精度カメラを設置しますが、ハードウェア機器については自社導入ではなく、パートナー企業と連携し提案されるようです。

  • プログラミング不要で、新しい検査対象物の登録や再学習などを実行可能。少量(数十枚)の良品画像でAIモデル作成が可能ですが、不良品判定画像は検査員が目視確認し、AIモデルに再学習を実行します。

  • 外観検査と同時に寸法計測も可能。これを他社との差別化要素として強調しています。

【価格体系】

  • 価格体系は製品ラインごとで、料金は不明。

  • アセスメントは無料、PoCは2〜3ヶ月程度でAIモデルは電算が用意します。導入まで進めば、本見積もりをスタートします。

【活用事例】

  • 個別企業の事例はありませんが、金属プレス製品・金属塗装製品・プラスチック製品・容器・ドリル・ベアリングなどが対象ワーク例に掲載されています。


CEC

【創業】

  • 1968年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • トライアルでは、良品画像・不良品画像データがどちらも必要になります。

  • システム構築に必要なものは、PC・カメラ・照明など一通り揃っており、顧客の既存環境に応じて柔軟に対応できるようです。

【価格体系】

  • AIソフトウェア1ライセンス200万円。ただし、ラインごと・学習対象ごとにライセンスが必要となります。

  • また、セットアップには別途費用がかかります。学習用PC30万円〜、検査用PC45万円〜、PC格納ラック120万円〜。

  • この他、カメラ・照明・インテグレーションには費用がかかります。

【活用事例】

  • 具体的な事例は掲載されていませんが、金属部品・樹脂部品・電子基板など、さまざまなワークに利用可能と記載があります。


情報技術開発

【創業】

  • 1968年

【プロダクト名】

  • なし(https://www.tdi.co.jp/solution/ai_visual_inspection)

【仕組み】

  • 「AI外観検査サービス」には、①スターティングパック(トレーニングライセンス初年度分・学習/判定サーバー・セットアップ・現場支援コンサル5回)、②簡易アプリケーション(1アングルカメラによる撮影・検査実行・検査結果ディスプレイ表示から構成されており、顧客はこの結果によって、本格導入するか判断するようです。)、③2日間研修サービスが含まれています。

  • 良品だけを学習させることで、不良品が出現した時に、不良判定を行います。

【価格体系】

  • スターティングパックは450万円〜

  • 詳細は問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 特に掲載されていません。


システム計画研究所

【創業】

  • 1977年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 良品画像を数十枚準備するだけで、手軽に始めることができます。学習時間は数秒で、画像ファイルアップロード後、学習開始ボタンを押すだけです。

  • AI外観検査によって判明した不良品判定パターンを見える化するモニタリングツールをセットで提供しています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 具体的な事例は掲載されていませんが、金属・食品・半導体・紙製品など、さまざまな適用事例が挙げられています。


東京エレクトロンデバイス

【創業】

  • 1986年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 顧客の現場環境に応じて、学習用サーバーと、推論用FAPC(Factory Automation PC)を提供します。

  • 推論処理高速化、低消費電力高性能計算を可能にするAIアクセラレーターカードも利用可能。

  • Berkeley AI Researchによって開発されたCaffeや、Google開発のTensorflowというディープラーニングフレームワークを使ってモデルを作成しています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 特に掲載されていません。もしかすると事例が載っているかもしれないホワイトペーパーのリンクがありますが、それをダウンロードするには会社名・氏名・住所まで入力する必要があり、今回はしませんでした。


フロンティアシステム

【創業】

  • 1990年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • キーエンス社の画像処理装置を搭載した表面欠陥検査システム「KE-XGXM」にAIを搭載した「XGXM-AI」が、AI外観検査プロダクトになります。

  • XGXM-AIにはモノクロラインセンサカメラ・専用のLED照明がセットでついており、ハードウェア機器・AIソフトウェアがオールインワンのプロダクトになっています。

  • 学習には良品・不良品データどちらも必要で、事前に登録しておいた不良品のカテゴリー分類を行い、レポートを出力するところまでワンストップで実行可能。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 元々が検査・計測専門メーカーであるため、検査事例そのものはたくさん掲載されていますが、AI外観検査であるXGXM-AIの事例は、確認することができませんでした。


スカイロジック

【創業】

  • 2001年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 環境セットアップはいくつかバリエーションがあります。ベルトコンベアがない場合、対象物を手置きし、カメラで撮影・判定します。ベルトコンベアがある場合、コンベア上で撮影・判定し、不良品を検知したらブザーを鳴らします。そして、ブザーではなくPLCと同期してロボット仕分けすることもできます。スカイロジックは、元々が検査・計測専門メーカーであるため、こうしたハードウェア環境構築に強みがあるようです。

  • インストールするPCにはGPUが搭載されている必要があり、そのPC1台で学習から判定まで行います。

  • プログラミング不要で、現場の検査員が良品・不良品をマウスで囲んで学習させることができます。

  • 顧客は、スカイロジックのAI外観検査サービスについて知るために、2つの方法があります。①ウェブサービスに撮影画像をアップロードし、画面上でアノテーション・学習・判定まで行い、使い勝手を確かめます。②技術スタッフによる無料評価サービスです。どちらか自社に合うやり方を選択します。

【価格体系】

  • 学習版が48万円、運用版が20万円、学習サービスが1データあたり2万円。

  • 別途、PC・カメラなどの構築費用が必要になります。

【活用事例】

  • 同社は100以上の検査事例を掲載しています。会社名や実際の効果などはわかりませんが、ねじ山に発生した打痕検査、アルミ板のキズ検査、食品への毛髪混入検査など、さまざまな適用例を見ることができます。


松電舎

【創業】

  • 2004年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 社内PCもクラウドも使わず、PCを購入して利用します。(ただしGPU必須)

  • (顧客がやることは)「映像を撮影するだけ」というキャッチコピーで、ソフトウェア、カメラ、レンズ、照明、がECサイトのように販売されており、顧客は自由に選んで流れに沿ってセットアップしていきます。

【価格体系】

  • AIソフトウェアが売り切りで78万円(テスト版は20万円)

  • カメラ、レンズ、照明は、サイズ・クオリティごとに価格が異なります。

【活用事例】

  • 樹脂成形品の塗装不良検査、電源プラグの形状検査など、デモ動画はいくつかありますが、個別企業の事例は特に掲載されていません。


アドダイス

【創業】

  • 2005年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 既存の検査装置に後付けしてAI外観検査システムを構築することができます。

  • 提供するのはAI外観検査のプログラミング不要でAIモデルを構築できるプラットフォームで、現場の検査員の方々が学習・判定・再学習まで行うことができます。

  • アカウントをサブスクリプション方式で契約し、クラウドで利用します。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 半導体製造工場での導入実績があります。導入前は25枚に1枚の割合でサンプリング検査を行い、5名のスタッフで7時間を要していたところを、導入後はリアルタイム全数検査を可能にし、検査量25倍・検査時間は0.2秒に短縮されたそうです。


ALBERT

【創業】

  • 2005年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 良品だけを学習させることで、不良品が出現した時に、不良判定を行う。

  • 異常位置の可視化によって、判断の説明可能性を上げています。

  • 撮影装置設置、アノテーション、AIモデル作成・学習、を一通りサポートしてくれます。ツール提供し顧客が構築するケースもあれば、アウトソースという形で代行するケースもあります。前者の場合、プログラミング不要のツールを利用します。

【価格体系】

  • アノテーション、AIモデル作成ツールを利用できるライトプランは、初期費用50万円、月額20万円となっています。

【活用事例】

  • 特に掲載されていません。


アダコテック

【創業】

  • 2012年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • カメラや照明、ラックなどのハードウェア環境セットアップについては、ホームページからは読み取れませんでした。

  • 良品だけを学習させることで、不良品が出現した時に、不良判定を行います。汎用PC(GPUでなくCPUで可)で動作するようです。

  • また、説明可能性を意識し、計算過程・結果の説明がしやすい見せ方ができる、と記載があります。ただし、具体的な仕組みまではわかりません。

  • AI外観検査スタートアップの中で比較的珍しく、技術に関する詳細説明がされています。同社は高次局所自己相関(HLAC)特徴抽出法という技術を使います。各画像に対して、画像内の対象位置に依存しない特徴量を25個抽出し、その特徴量との差を計算して、不良品スコアリングを行っているようです。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 自動車部品Tier1メーカーのパワートレイン生産ラインの導入実績が掲載されています。良品データの学習のみで、汎用PCで数十分の学習を実施。導入後1年間で、見逃し率0%、誤報率0.2%となっているそうです。


スカイディスク

【創業】

  • 2013年

【プロダクト名】

  • なし(https://skydisc.jp/visual_inspection/)

【仕組み】

  • AIが特徴を抽出しやすいデータを揃えることを重視し、照明設定調整などをサポートします。こういったハードウェア環境構築部分では、シナプスギヤ社と協業しています。PoC終了後に、ハードウェア・設備を含めたワークフローを提案します。

  • アルゴリズム構築はスカイディスク社のデータサイエンティスト、アノテーションはパートナーである日本FLOW社が実施します。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 事例としては、食品工場における異物(髪の毛、虫、残皮)付着検査が掲載されています。制約条件も書かれており参考になります。顧客の条件は次の2点です。①不良品を取り除くためのピッキング機械を導入する予算はないこと、②それまで8名いた検査員を2名まで削減することができれば投資対効果が見合うこと。そこで、完全無人化ではなく、1人の検査員にかかる負荷が少なくなるよう、不良品を特定し、そこにスポットライトを当て、作業員がピックアップするようなオペレーション体制にしたようです。


アラヤ

【創業】

  • 2013年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • カメラ設置やPLC連携もサポートしてくれます。

  • 少量の不良品画像の学習で可能。そうでない学習パターンも可能で、良品学習のみの場合1~2時間。良品・不良品どちらも学習する場合3〜4時間が学習時間として必要になります。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 事例として挙げられているのが、食品原材料の異物検知です。従来は異物混入を検査員1名が目視検査したラインを、検出率約96%で無人化することができた、とあります。ただし、96%なので、残りの4%をカバーする検査員が必要かどうかわかりません。

  • この他にも、カップラーメンの毛髪・プラスチック片検出や、金属ボールベアリングの打痕検知、皮の傷・穴・ボンド付着などが検証事例としてあるようです。


プリファードネットワークス

【創業】

  • 2014年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • すでに撮影装置がある顧客にAI外観検査システムを提供するケースもあれば、撮影装置の配置検討から提案することも可能です。

  • 同社独自開発のディープラーニング学習モデルを利用しています。

  • プログラミング不要で画像登録〜学習〜精度比較まで一気通貫で管理できます。学習画像は100枚程度から実施可能です。

  • 不良箇所をヒートマップで可視化し、説明可能性を上げているようです。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 適用実績がある事例として、金属部品、布・繊維、食品、樹脂、ゴム、電子部品、ガラス、木材、ウェハーなどさまざまな素材が挙げられています。

  • 具体的な事例として、東レ・プレシジョン株式会社のケースが挙げられています。ただし、これはエンドユーザーとしての事例ではなく、Preferred Networks Visual Inspectionを組込んだ計測・検査装置の開発です。円周上を回転する部品を撮影しながら外観検査を行うケースで、写りからの影響を受けずに高精度な検査ができる、というところで評価されたようです。


センスシングスジャパン

【創業】

  • 2015年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 0.1秒の高速判定が強み、と記載があります。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 活用事例として挙げられているのは、食品の形状不良検査(例えばドーナツなど)、物品の傷・異物検査、ウェハーの外観検査など。


Rist

【創業】

  • 2016年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 製品をパッケージとしてではなく、クラウド利用できるAIソフトウェアを既存ラインに後付けする形で導入することができます。

  • 自信度を付加した判定機能がついています。自信度が低いものは検査員が目視検査するというアプローチを採っています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 製造業における事例として、株式会社村上開明堂のバックミラー製品検査ラインが挙げられています。同社は従来も検知システムを導入していましたが、精度は60%程度にとどまっており、最終的に検査員が目視検査を行っていました。RistのDeep Inspection導入後、精度は97%まで上がり、その結果検品作業員の工数を7割削減することができたそうです。そこから得られたデータを基に、上流工程の最適化にも取り組んでいるそうです。

  • またパッケージラベルの事例もあります。従来の検査システムでは、100枚に1枚の誤検出していましたが、10,000枚に1枚まで精度が向上したようです。


AIハヤブサ

【創業】

  • 2017年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • 良品・不良品を外観検査するだけでなく、3D形状計測や、バーコード複数読み取りなども実施可能。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 実際の事例かどうかわかりませんが、電子部品の良品・不良品判定、基板検査装置、食品容器検査などが、適用可能例として挙げられています。

  • 誤検出率(不良品を良品判定、あるいは良品を不良品判定してしまう率)が3%だったラインに導入し、0.5%まで下げた実績があるようです。


ASTINA

【創業】

  • 2017年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • AIシステムと合わせて装置も開発可能。これらを全て自社で行うそうです。

  • 他の企業でみられるような数ヶ月のPoCがありません。画像を集める最小限のシステムをレンタルし、集めた画像を基にAIソフトで判定。レポート提出後、ヒアリングを基に費用算出すると、次ステップは有償発注となり、導入がスタートします。

  • FAQが充実しています。対象物によって、画像データは数百枚でいい場合もあれば、数万枚必要な場合もある、と書かれています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 各業界向けに細かくケーススタディが載っています。ファンデーションや口紅のような化粧品では、模様・凹凸・光沢の影響を受けず、傷や異物混入を判定することができるようです。

  • その他、食品の微小異物混入・焼きムラを検知したり、工場内の印字類に対応したOCR-AIシステムまであります。


Musashi AI

【創業】

  • 2017年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • テスト用検査装置の構築をサポート。その後、量産ラインに導入可能な検査装置の設計・開発・据付まで実施します。

  • 良品・不良品どちらもサンプルが必要になります。

  • 親会社である武蔵精密工業の自動車部品工場で実稼動中。導入にあたっての課題を自社内で検証・解決しています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • ギヤ・ベアリングなどの自動車部品、農産物、プラスチック容器、ゴミ分別などが、活用方法例として挙げられています。また、実例として、親会社である武蔵精密工業でギア量産ラインに導入したAI外観検査の効果が掲載されています。ベベルギア(傾斜のある傘のような形の歯車)の不良品判定精度が100%となっています。


Pros Cons

【創業】

  • 2019年

【プロダクト名】

【仕組み】

  • カメラ・レンズメーカーと連携し、製品に合わせた照明の検討も可能。

  • 良品だけを学習させることで、不良品が出現した時に、不良判定を行います。数個のサンプル学習で効果検証できますが、安定的な精度を出すためには数百枚程度良品の学習が必要。

  • 不良箇所をヒートマップで可視化し、説明可能性を上げています。

【価格体系】

  • AIソフトウェアの入ったUSBごとに課金する仕組みになっています。

  • 1週間の効果検証で95万円、1年ライセンス利用付きのPoCで250万円〜、コンサルティングで150万円〜というメニューになっています。

【活用事例】

  • 特に掲載されていません。


VRAIN Solution

【創業】

  • 2020年

【プロダクト名】

  • なし(https://vrain.co.jp/visual-inspection/)

【仕組み】

  • 新たにAI外観検査システムを導入することもできますし、既存の検査システムに後からAIを組み込むこともできます。

  • AIの判定精度を上げるためには撮影条件が重要ファクターであり、撮影条件設定からライン組み込みまでのセットアップをワンストップで提供する、と書かれています。

【価格体系】

  • 問い合わせが必要です。

【活用事例】

  • 実際の事例かわかりませんが、適用事例としては、カーペットの汚れ検査、鉄板の傷検査、ソーセージの残骨検査が挙げられています。




AI外観検査プロダクトを見渡してみて


まず、想像以上に多くの企業のプロダクトページが「AI外観検査」で検索ヒットすることに驚きました。


さまざまな企業が存在する中で、グループ会社を持つ上場企業が提供するAI外観検査プロダクトの特徴は、ハードウェア環境セットアップの対応範囲が広いことです。そういった企業はグループ企業にインテグレーターを抱えているケースが多く、「ベルトコンベアがない、カメラがない、照明がない」といった状態でも、とりあえず相談すればなんとかなりそうな印象を受けます。一方で、事例がほとんど掲載されていないため、顧客候補は「自分たちと似たような悩みを解決した個別事例はあるのだろうか」と迷う可能性もあります。


上場企業でなくとも、長年検査・測定装置を開発・製造してきた企業がAI外観検査に参入した場合、既存製品ラインナップに、AI外観検査に必要なハードウェア製品が揃っているケースが見られました。そういった企業は、顧客ネットワークを活かし検査事例が豊富に掲載されていますが、それがAIを使ったものなのか、既存検査製品を使ったものか、少し読み取りづらい場合がありました。


比較的創業年が新しい企業(この中に、ベンチャーキャピタルから出資を受けたスタートアップもあります)は、事例が載っているケースが多いです。決して数が豊富なわけではありませんが、具体的なケースが掲載されていることで、同じような悩みを抱えた業界の企業にとって、心理的ハードルが下がるかもしれません。また、そういった企業群には、AI不良品判定後のレポーティング機能(判断理由、自信度、改善策)を充実させようとしているところもありました。検査性能だけで勝負しようとせず、オペレーション全体に組み込まれるサービスを作ろうとしている印象を受けます。



イチ顧客候補の視点で見ると、競合が多い中で、いかにお試し開始までのハードルを下げるかが重要だと感じました。例えば価格の点でいうと、顧客候補ごとに環境もニーズも異なるため価格は応相談のケースが多いのは当然ですが、例えばECサイトのように、対照ワーク・ベルトコンベア有無・照明有無・etcなどを入力していくとすぐ見積もりが出るような仕組みによって、スピード感が出るかもしれません。(一方で、問い合わせた後のヒューマンタッチがありがたい、という意見もあるかもしれませんが。)


導入までのハードルを下げるために、トライアルやPoCまでのスピード感も重要です。「明日から試したいんだけど...」という声にどれだけ対応できるかで、リーチできる顧客の数は大きく変わってきそうです。


また、事例も重要ファクターの1つです。(導入先の個別企業名は出せない場合もあるかと思いますが、)顧客がこれまで抱えていた課題と、それをどう解決したか、そして導入前後の定量的結果が丁寧に載っている企業は信頼感が高いと感じました。



AI外観検査マーケットに限らず、競合が多い中でいかに最初の心理的ハードルを下げ、検討フェーズに入っていただくか、というポイントは重要だと思います。マーケットによって肝になるポイントは異なると思いますが、価格情報のクイックな入手フロー、細かい事例、FAQの充実具合、そして問い合わせ後即対応などは、良サービスに共通する部分として、今後とも参考にしていきたいと思います。



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