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Writer's pictureKenta Adachi

VCあてのコールドメール

ベンチャーキャピタリストとして、日々、たくさんのコールドメールを起業家の皆さん、スタートアップの皆さんからいただいております(ありがとうございます)


いただいたコールドメールは全てきちんと拝見しておりますが、その中でも特に、「ぜひ直接、お話を聞いてみたい」と思う内容と、そうではない内容というものがあります。


本記事では、過去いただいた「ぜひ直接、お話を聞いてみたい」と思ったいくつかのメール文面の要素を組み合わせて、こんなコールドメールだったらVCからの返信率があがるかも?というものを紹介していきたいと思います。


ちなみにコールドメールとは、それまで接点がなかった相手に突然メール(コンタクトページから発信するものやSNSも含む)を送ることで、今後の関係性構築を狙ったものになります。

出典: いらすとや(https://www.irasutoya.com/)




冒頭文

はじめまして、私は〇〇と申します。


このたび、△△業界の□□という課題を解決する株式会社☆☆について、資金調達の相談があり、コンタクトしております。


簡単に私の紹介をいたしますと、△△業界で■年以上の経験があります。△△業界には昔ながらの習慣が色濃く残っておりますが、そのために非効率がいくつも発生しており、その解決なくしては△△産業の次なる発展を実現していくことが難しいと考え、一念発起して起業しました。


ホームページ等を拝見し、貴社はまさにそうした課題解決に向けたスタートアップへの投資・支援をしていると思い、このたびのコンタクトに至っております。


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以上が、冒頭文の例です。


コールドメールで「ぜひ直接、お話を聞いてみたい」と思うのは、誰がこのメールを送っているか、そこが分かりやすいものです。時に、送り手の名前も書かれていないものもあり、なかなか返信しにくいな、と思うことがあります。


名前だけでなく、できれば、なぜその事業で会社を起こしたのか、簡単に触れていると、よりVCの興味を喚起できるのではないでしょうか。


何をやろうとしている会社であることも、早めに書いておくことが望ましいと思います。


中には、長いメッセージを全部読んでも具体的に何をやろうとしている会社が分からないメッセージもありますし、それが書いていたとしてもメッセージの最後のほう、ということもあります。


最初の数行を読んで「これは自分には関係がないメッセージ」と思われないようにするために、なるべく早い段階で、何をやろうとしている会社か、触れていきたいところです。


そしてもう一つ、先ほどの「これは自分には関係がないメッセージ」と思われることを防ぐために、メッセージを送るVCの簡単なリサーチをしておくことも望ましいでしょう。


各VCにはそれぞれ投資領域があります。その投資領域と全く関係のない事業を行っている場合、そもそもメッセージを送っても空振りしてしまうことも少なくないと思います。


ですが仮に、投資領域に合致する事業を行っているのに、それを相手にきちんと伝えることができないまま「これは自分には関係がないメッセージ」と思われてしまっては、非常にもったいないです。


各VCがどんな投資を行っているかは、ホームページやSNS等を調べれば、おおよそは分かります。例えばIDATEN Venturesであれば「製造・建設・物流業を支えるB2B技術」へのスタートアップ投資を行っているわけですが、そういった点との関連性をメッセージ中に必ず、しかも早い段階で述べておくことがよいでしょう。


一度、コールドメールの文章を作ってしまえば、それを複製して一気に展開したい気持ちもありますが、そこをちょっとこらえて、各VCについて調べるだけで返信率があがるなら、やって損はないのかもしれません。


さて、そんな冒頭文はスクロールする必要がない短さに留めましょう。


メッセージを開き、パッと目に入ってきた最初の内容で「続きを読みたい」と思わせることができるかどうか、そこが勝負となってきます。


そういった意味では、実はそれ以前にメッセージのタイトルが非常に重要なのですが、それはあまりに重要なため、本記事の最後にふれたいと思います。


本文

私たちは、△△業界の□□という課題を解決するため、具体的には〇〇ということを行っております。


この〇〇の有効性を検証するために、実際に☆☆という実証をやってみましたが、狙い通り良好な結果となり、この結果をベースに、ただいまプロダクト開発を進めています。


初期的プロダクトが3か月後に完成予定で、現在、プレマーケティングを行っております。そのプレマーケティングでも◇◇という良好な反応をいただいており、さらなる事業加速のため、▲▲を期限に、■■億円の資金調達に向けて動き出したところです。


下記に、事業プレゼン資料を用意しましたので、ご覧ください。

xxxxxxxxURLxxxxxxxx


株式会社☆☆

代表取締役〇〇

メールアドレス

ホームページURL


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以上が、本文の例です。


冒頭文でVCからの初期的な興味を獲得した後、その興味をさらに大きくするため、具体的な内容に入っていきます。


逆に、興味を喚起できていない段階で具体的な内容に入ってしまうと、そのまま離脱してしまう可能性もあるため注意してください。


具体的な内容とは、ずばり、どういった事業をやろうとしているか、その説明になります。


「どんな課題をどうやって解決しようとしているのか」「どんな恩恵をどうやって創造しようとしているのか」それをシンプルかつダイレクトに、エレベータピッチを意識して書いてみましょう。


ここでシンプルかつダイレクトに書けない場合、まだその事業に対する検討が浅い可能性があります。考えて考えて、言葉を絞って絞って、キラキラ光るコアにまで磨き上げてください。


そして、できればその事業案が単なる思い付きではなく、既に実績があることにも触れたいです。


実績といっても様々です。

実際にお客様に使っていただいているならもちろんそれが実績になりますし、そうではなくても、PoC(Proof of Concept、概念検証)が済んでいるとか、MVP(Minimum Viable Product、お客様に価値提供できる必要最小限のプロダクト)が動いているとか、紙上の検討から進んだことを示したいところです。


また、ここで企業のステージに触れておくことも重要でしょう。


先ほど述べた通り、各VCには投資領域というものがありますが、もう一つ、投資ステージというものもあります。

シード、アーリー、ミドル、レイター等々と呼ばれますが、それぞれの定義が曖昧なケースもあります。


そのため、コールドメールではより具体的に「プロダクト開発前」とか「継続収益が昨年対比〇%で伸びている状況」といったふうに表現する方が望ましいでしょう。


さらに、VCには投資地域というものもあります。例えば、日本のスタートアップに専門的に投資をするVCファンドが、北米のスタートアップに投資をしない、といったようなことです。

日本国内でも地域特化型VCファンドは、とても重視されているポイントです。


あとは、資金調達を考えている時期や金額も、全体のバランスを見て触れておいてもよいかもしれません。


と言いますのも、各VCによって投資可能な時期や金額も決まりがある場合が少なくないためです。

あるいはここは敢えてコールドメール中には書かず、直接話す際に触れる、ということもありでしょう。


そして、ここまで読んでもらったら恐らくかなりの興味を喚起できているはずなので、とどめに事業プレゼン資料のリンクを貼っておきましょう。


署名欄も忘れずに載せておきたいところです。


コールドメールとしては、冒頭文+本文で、これくらいの文量でよいのではと思います。


短すぎては伝えたいことを伝えきれませんし、長すぎては読み手の忍耐力次第では途中で離脱してしまいますし、間延びしてキレの良さを感じさせなくなってしまいます。


うまく興味喚起さえできれば、あとは資料リンクを押して資料を見させることができるでしょうから、第一目標をそこにおいて、コールドメールを書きあげましょう。


(もちろん最終目標は、直接ミーティングする機会を獲得することです。そのための資料づくりについてはまた後日、記事を書きたいと思います)




タイトル

最後に、一番重要なタイトルについて触れたいと思います。

タイトルの良しあしで、そのメッセージが開封されるかどうかも決まってしまいます。


冒頭文、本文に書いた内容を見返し、何をタイトルに書けば一番興味を喚起できそうか、今一度フレッシュに考えてみましょう。


やはり、各VCの投資領域、投資ステージ等に沿った資金調達に向けて動いている、ということを書きたいところです。


例えば、「製造業のDX推進のためシード資金調達の相談(株式会社〇〇)」とかです。


長くなりすぎないように、とはいえあまりに短くして抽象的なタイトルで他メールに埋もれないようにしたいです。

あとでメールボックス内検索しやすいように、タイトルにさりげなく社名を入れておくのもよいかもしれません。


以上になります。


もちろん、コールドメールに決まった書き方はありませんので、上記も参考にいただきつつ、ぜひ皆さん独自の技を開発してみてください。


IDATEN Venturesとしても、コールドメール、お待ちしています!




IDATEN Ventures(イダテンベンチャーズ)について

フィジカル世界とデジタル世界の融合が進む昨今、フィジカル世界を実現させている「ものづくり」あるいは「ものはこび」の進化・変革を支える技術やサービスに特化したスタートアップ投資を展開しているVCファンドです。


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