ここ数年、特に欧米・中国を中心にEVの普及が急速に進んでいますが、それに伴って充電ステーションの重要性が高まり、充電ステーション整備を進めるスタートアップが続々と資金調達に成功しています。
今回は、IDATEN Venturesが毎月発信している「ものづくり・ものはこび系企業の資金調達関連ニュース」で取り上げた充電ステーションスタートアップのうち、特にEVの販売台数が伸び始めた2021年後半以降に資金調達を実施した企業を42社、地域・創業年・特徴・事業進捗の観点からまとめてみました。
(Source: https://pixabay.com/ja/photos/カーシェアリング-電気自動車-4382651/)
調査を通じたポイントの整理
なお、42社全ての情報を一度に読むのは大変かと思いますので、調査を通じて感じたポイントをはじめに4つまとめ、それから具体的に各社を詳細にご紹介していきます。個別各社の情報は、データベース的に参照いただければと思います。
①大半の企業のビジネスモデルは類似している
大半の企業は、土地所有者(自治体・企業・個人)に、充電器ハードウェアと充電ステーション管理ソフトウェアを提供します。そして、EVユーザーにはスマホアプリ(ステーション検索・決済機能付き)を提供しており、類似しています。
②提供先をフォーカスすることで差別化を図る企業が出てきている
そんな中、各国の地理的な事情も関係しているとは思いますが、充電ステーション設置先を、自治体・集合住宅等、特定のセグメントにフォーカスする事業者が登場しています。公開情報ベースではありますが、特定セグメントの顧客に集中して展開している企業は、勢いを感じるような気がしました。
③ユニークな技術で差別化を図る企業もある
いくつか見られたのが、電力負荷制御アルゴリズムを活用するアプローチです。EVの普及に伴って求められる充電器の数も急増する中で、「充電ステーションの数を増やす」だけでなく、「充電ステーション内の充電器密度を上げる」という取り組みが見られました。これまでグリッド側の出力サイズとの兼ね合いで、充電ステーション内に設置できる充電器の数が限られていたような場所が、電力負荷制御を自動的に行うソフトウェア技術によって、より多くの充電器を設置できるようになると、土地所有者の投資効率も改善されます。また、似たような観点で、これまで急速充電器が設置できなかった場所に、SST(Solid State Transformer)を活用することで、特殊な工事不要で急速充電器が設置できるようになる、という事例も見られました。このあたりの技術は、今後さらに注目が集まっていくかもしれません。
④効率的な他地域展開に買収が利用されている
リストの中でも登場するアメリカ発のBlink Chargingという企業は、北米地域でシェアを拡大した後、ヨーロッパ市場参入にあたっては、イギリス・ベルギーの類似企業を買収する形を採っています。これから、こういった買収案件は増えていくのではないかと思います。
また、ENECHANGEのパートで書きましたが、日本の充電器は欧米・中国に比べると出力サイズが小さく、また、まだ急速充電器の普及が限定的であるようです。今後日本の動きもさらに増えていくかもしれません。
充電ステーションスタートアップ42社について
それでは、42社の情報を具体的に見ていきます。以下、直近実施された資金調達ラウンドのタイミングが古い順に並べています。なお、レポート内で、為替レートは2023年7月27日時点のものをベースに計算しています。
創業年:2021年
地 域:イギリス
資 金:
累計3,000万ドル(≒40億円)調達
直近ラウンドは2021年10月
株 主:
Zouk Capital(既出)
事 業:
イギリス政府は、EVの普及を進めるために、2030年までに約50万台の充電器を同国内に整備する必要があると考えているが、2021年10月時点ではまだ約3万台に満たない状況であるという。
同社は、企業・自治体等の土地所有者に対して、充電器の投資計画策定・設置工事・維持運用まで一貫して支援を行う。具体的には、土地所有者に充電器ハードウェアと管理ソフトウェアを、消費者にステーション検索・決済アプリを提供。
創業年:2021年
地 域:アメリカ
資 金:
累計500万ドル(≒7億円)調達
直近ラウンドは2021年11月
株 主:
Climate Pledge Fund(Amazonが運営する環境・エネルギー系CVC)等
事 業:
同社は「SST(Solid State Transformer、半導体変圧器)」を用いた超小型急速充電器を開発している(特許取得済み)。
2019年に発表されたこちらの論文を参考にすると、アメリカではFREEDOM(Future Renewable Electric Energy Delivery Management)という新たな配電方式を普及させる計画があり、発電側ではなく配電側で需給調整を行うことで効率的な電力使用ができるようになると期待されている。そのコア技術となるのが、DC-AC・DC-DC・DC-ACコンバータから構成されるSST。詳細技術の説明は同論文に譲るが、間に挟まれたDC-DCコンバータに含まれる高周波変圧器が需要側の直流電圧を一定に保つように制御する働きを担うことで、太陽光発電・風力発電・バッテリー等の供給側の電圧変動に対応することができる。
この特徴を活かし、既存の配電網に充電器を直接接続し、充電ステーションの立上げスピードを従来の何倍も早くすることができるとのこと。
(Source: https://fshibaura.com/wp-content/uploads/2019/11/MA15060.pdf)
創業年:2019年
地 域:アメリカ
資 金:
累計6,000万ドル(≒84億円)調達
直近ラウンドは2021年11月
株 主:
モビリティ・不動産領域に中心的に投資するアメリカのVC
事 業:
同社はブロックチェーン技術を活用した「Apollo」というプラットフォームを用いて、充電ステーションを遠隔管理している。同社がブロックチェーン技術を採用したのは、充電ステーションが中央管理されている場合、障害発生時の余波が大きくなると考えたため。
Xealは、不動産会社と連携することで、「未来のガソリンスタンド」と表現される建物に、効率的に充電器を増やそうとしている。
創業年:2017年
地 域:ドイツ
資 金:
累計7億ユーロ(≒1,100億円)調達
直近ラウンドは2021年11月
株 主:
大手自動車メーカー各社
BlackRock(同社は後ほど登場するFreeWire Technologiesにも出資)
事 業:
同社はHyundai・Ford・BMW・Mecedes・Volkswargen等の大手自動車メーカーが合弁で設立した企業である。
ヨーロッパ24ヶ国の高速道路に特化して、急速充電ネットワークを展開。2023年7月時点で、充電器設置台数は2,612台、設置箇所数は517、建設中の場所が75箇所ある。全ての充電ステーションは、全てのEVブランドに対応しており、また、電力は100%再生可能エネルギー由来である。充電器は超急速充電用に独自開発されており、最大350kWの出力。
直近ラウンドで7億ドルの出資を行ったBlackRockは、洋上風力発電・太陽光発電インフラに積極投資しており、今後は同社との連携を深め、再生可能エネルギー×充電ネットワークに注力していくと思われる。
(Source: https://ionity.eu/en/network/network-status)
Yunkuaichong
創業年:2016年
地 域:中国
資 金:
累計資金調達額は非公開
直近ラウンドは2021年11月
株 主:
NIO(中国のEVメーカー)
OPPO(中国のスマートフォンメーカーでEV事業にも参入)等
事 業:
同社は充電ステーション運営事業者およびEVユーザー向けに、クラウドベースのプラットフォームを提供するサードパーティのIoT企業である。EVユーザーは、同社のアプリを使って充電ステーション検索、充電にかかる決済を行うことができる。
直近の資金調達ラウンドでは、「中国のテスラ」と称されるNIO、またスマートフォンメーカーとして中国で第3位のシェアを誇り、2021年頃からEV市場に参入したOPPOから出資を受けた。
2021年8月時点で、同社は中国300以上の都市で2,500以上の充電サービス事業者に製品提供し、同社IoTが組み込まれた充電器は12万超まで増加。2021年10月には、2,800の充電サービス事業者が保有する14万台の充電器にIoTを組み込んでおり、2ヶ月で充電器の数を2万台近く増加させた。
Weijingyun
創業年:2016年
地 域:中国
資 金:
累計数億円調達
直近ラウンドは2021年12月
株 主:-
事 業:
同社は、乱立する充電ステーション運営事業者をネットワークし、EVユーザーが1つのアプリ上で、充電ステーション検索、決済まで行えるようにしている
中国では、EVメーカー、ライドシェア事業者、地図情報サービス事業者、国営企業等、充電サービスを提供する事業者の種類が幅広く、EVユーザーはそれぞれが独自提供するアプリを使い分けなければならない場合も少なくない。そこで、同社は充電ステーション運営事業者に管理ソフトウェア・ステーション運営サービスをセットで提供し、ネットワークしている。
創業年:2018年
地 域:イギリス
資 金:
累計1,350万ドル(≒19億円)調達
直近ラウンドは2022年2月
株 主:
ヨーロッパ・アメリカの環境・エネルギー系VC
事 業:
同社は、充電ステーション運営事業者向けに、充電ステーションの使用状況監視・需要予測に基づいた最適な充電スケジューリングを行うことができるソフトウェアプラットフォームをサブスクリプションモデルで提供する。
充電ステーション運営事業者からサブスクリプション収益を得ると同時に、充電需要に関するデータをエネルギー会社やEVメーカーに提供することで収益を上げている。
EVユーザーは、同社が提供するアプリを利用し、オフピーク時(電力単価が低い時間帯)に充電予約を行い、電力コストを削減することができる。
創業年:2012年
地 域:アメリカ
資 金:
2022年3月にSK E&Sという韓国企業に買収された
株 主:
SK E&S
事 業:
共同住宅や商業不動産に充電ステーションを設置し、不動産オーナーがテナントに充電ステーションを貸し出すことで収益を得られるB2B2Bモデルのサービスを提供している。EverChargeが充電ステーションの設置工事・維持管理を行うため、不動産会社オーナーは場所を提供するだけで良いことになる。
同社の技術的強みは、電力の「動的負荷管理」にある。通常のEVステーションにおいては、充電器の最大出力を考慮して設置できる充電器台数が限られていたが、同社は自動的に負荷制御できるソフトウェア技術を用いて、通常の5倍の充電器を設置しても、これまでの電力容量で賄うことができる仕組みをつくった。
2022年時点で、同社は北米地域で4,600台の充電器を設置していたが、2022年3月にSK E&Sという韓国企業に買収された。
創業年:2007年
地 域:アメリカ
資 金:
2021年5月にNYSE上場(2023年7月27日時点で時価総額約29億ドル(≒4,070億円))
上場後の直近資金調達ラウンドは2022年4月
株 主:
American Electric Power、Chevron Technology Ventures、BMW i Ventures、Mercedes等のエネルギー会社・自動車会社
事 業:
充電ステーションネットワークを展開する企業としては最も古くから活動する企業の1つ。あらゆるブランドのEVに対応した充電器ネットワークを提供。設置後は、充電ステーションの遠隔監視・メンテナンス等も引き受ける。
北米地域でシェアを確立した同社は、2021年からヨーロッパに本格展開を開始した。2022年11月時点で、同社は5万7,000箇所の充電スポットをネットワークしているとのこと。
創業年:2012年
地 域:スウェーデン
資 金:
累計1億5,000万スウェーデンクローナ(≒20億円)調達
直近ラウンドは2022年4月
株 主:
スウェーデンのVC
事 業:
家庭向け・法人向けにEV充電に必要な製品(充電器・ケーブル・アダプタ等)を提供している。ハードウェアとセットで提供するアプリを通じて、顧客は充電器の遠隔監視・制御、充電に関する統計情報収集を行うことができる。
同社は、充電ステーションをネットワークしているわけではなく、充電器を設置したい顧客向けに合わせて製品をカスタマイズ・販売している。
創業年:2016年
地 域:カナダ
資 金:
累計1,700万ドル(≒23億円)調達
直近ラウンドは2022年4月
株 主:
カナダを中心とする環境・エネルギー系VC
事 業:
集合住宅・商業施設・公共施設等に充電器を設置してネットワークしている。中でも集合住宅への設置に注力中。また、再生可能エネルギー由来電力の供給にも力を入れている。
2020年頃までにカナダを中心に展開を進めていたが、2022年は北米全体の集合住宅に展開を急ぐ、と報じられた。2022年時点で、すでに200以上の集合住宅に充電ステーションが設置されており、その半分以上が低所得〜中所得者層が居住する集合住宅であるという。
創業年:2014年
地 域:カナダ
資 金:
累計2億3,000万ドル(≒320億円)調達
直近ラウンドは2022年4月
株 主:
BlackRock(既出)、DaishinSecurities(韓国系ファンド)、Gly Capital Management(中国系ファンド)、等
事 業:
同社は、モバイル型・据置き型、2タイプのEV充電器を提供している。モバイル型は、文字通り可搬型充電器になっており、例えばEVユーザーは企業敷地内で停車した任意の位置で、充電することができる。GoogleやMeta等の大手テック企業で利用されているとのこと。
また、据置き型は蓄電池を利用したものになっており、設置にあたって受電設備を改変する必要がなく、スピーディに充電ステーションを立ち上げることができる。こちらの記事によれば、同社の蓄電池は日産自動車の製品が使われているそう。
同社のハードウェアには、充電対象車両の確認、充電状況のリアルタイム配信を可能にするソフトウェアが組み込まれているとのこと。
ホームページによれば、30カ国以上で製品を販売し、累計1,000箇所以上の充電ステーションを展開しているとのこと。
創業年:2015年
地 域:イギリス
資 金:
2022年4月にアメリカの充電ステーション企業Blink Chargingに買収された
株 主:
Blink Charging(同社は後ほど登場するSemaConnectも買収)
事 業:
Electric Blueはイギリス国内を中心に、充電ステーションネットワークを展開。こちらの記事によると、設置場所としては、地方自治体、大学、病院等が中心であると書かれている。
2022年に同社を買収したBlink Chargingはアメリカ発の充電ステーションネットワーク企業で、Electric Blueに先立って、ベルギーのBlue Cornerという企業も買収しており、買収を通じてヨーロッパ展開を図っている。
Juwan Technology
創業年:2020年
地 域:中国
資 金:
累計11億元(≒220億円)調達
直近ラウンドは2022年5月
株 主:
GAC Group(中国の大手自動車メーカー)等
事 業:
同社は超急速充電バッテリー(XFC=eXtreme Fast Charging)の研究開発、および急速充電ステーション建設を行っている。米国エネルギー省によれば、XFCの定義は、充電器の出力が400kW以上、フル充電状態の走行可能距離が322km以上、1回の充電時間が15分未満、とされているが、同社のXFCはその要件を満たす形で開発されている。
こちらの記事によると、バッテリーの充電速度に大きな影響を与えるのは、バッテリー内部のリチウムイオンが移動するシャトル速度、および熱管理であるが、同社はGACグループの社内プロジェクトとして8年間近く研究開発を続けた結果、これらの問題を解決する方法を確立したとのこと。
2022年5月の資金調達ニュースによれば、調達した200億円を用いて最初の生産拠点および研究開発センターの建設を予定しており、2025年までに120GWhの生産能力まで拡張する計画を立てている。
創業年:2008年
地 域:アメリカ
資 金:
2022年6月にアメリカの充電ステーション企業Blink Chargingに買収された
株 主:
Blink Charging(既出)
事 業:
同社は、家庭向け・法人向けにEV充電器を販売しているが、特徴は製品ラインナップが豊富であること。個人用・商用・物流会社用等の顧客セグメント、普通充電用・急速充電用等のスペックに応じて、さまざまなニーズに沿った製品を販売している。
2022年6月にBlink Chargingに買収されたが、NIKE・CBRE・Cisco Systems等、グローバル企業が顧客に並ぶ。
創業年:2016年
地 域:アメリカ
資 金:
2022年6月の直近ラウンドで4億5,000万ドル(≒630億円)調達
株 主:
Volkswagen、Siemens等の自動車メーカー
事 業:
同社はVolkswagen Group傘下の企業でありながらオープンネットワークを志向し、どのブランドのEVでも充電できる充電ステーションを展開。
ホームページによると、2023年現在、急速充電器が約3,600台、充電ステーションが約820箇所、同社の充電ネットワークとして広がっているとのこと。
創業年:2009年
地 域:アメリカ
資 金:
累計7,000万ドル(≒98億円)調達
直近ラウンドは2022年7月
株 主:
アメリカ、オーストラリアのVC
事 業:
同社は特に走行距離の多いEVユーザー(長距離通勤者、ギグワーカー等)向けに、サブスクリプションモデルで充電サービスを提供している。これにより、時間帯・充電場所による充電単価の変動をなくし、ユーザーは毎月の充電支出を予測しやすくなるという。
サブスクリプションプランには、月額50ドル、100ドル、200ドルの3パターンが存在する。50ドルのプランは200kWh分が固定利用可能で、それを超えるとディスカウント付きの従量料金が適用される。100ドルのプランは22時〜6時の間が無制限、200ドルのプランは24時間無制限で、急速充電器を利用することができる。
ホームページによると、2023年現在、159箇所の充電ステーションに、合計716台の充電器を設置している。
創業年:2015年
地 域:シンガポール
資 金:
直近ラウンドは2022年7月
株 主:
ブイキューブ等
事 業:
シンガポールを含む東南アジア全体で、充電ステーションネットワークを展開する企業。独自開発の薄型充電器が特徴で、シンガポールではトップシェアを有している。公共施設・公営住宅・商業施設・タクシー・バスステーション等、さまざまな場所に充電ステーションを配置。
2030年までに1万6,000台の充電ステーションを建設する計画を立てており、2022年には日本のブイキューブより出資を受け、日本国内で充電ステーション事業の展開準備を開始。
Century Yunan
創業年:2021年
地 域:中国
資 金:情報なし
株 主:情報なし
事 業:
2022年7月の記事によれば、中国では急速に増加するEVに対して充電器の数が不足しており、EV:充電器の数が3:1程度になっているとのこと。
そこで、同社は空間内に設置できる充電器の密度を増やすというアプローチを展開。独自開発の電力負荷制御アルゴリズムを用いることで、土地所有者は受電拡張工事をすることなく、通常よりも多くの充電器を設置することができるようになる。
創業年:2012年
地 域:ドイツ
資 金:
2022年7月にカナダのSlate Asset Managementに買収された
株 主:
Slate Asset Management
事 業:
家庭向け・法人向け充電器を販売。同社は、充電器販売だけでなく、そもそも自治体や民間企業が充電ステーションの立上げを考えるにあたって実施しなければならない、候補地選定・プロジェクトチーム組成・技術選定・関連当局への登録手続き等を基本サービスとして提供している。
また、オプションサービスとして、充電ステーションの維持・運用、統計分析・決済可能なソフトウェアの提供、ディスプレイ広告用充電器販売等を行っている。
買収時のニュース記事によると、2022年7月時点で、Amperioはドイツを中心に1,800箇所以上の充電ステーションをネットワークしており、うち300箇所は顧客に代わって充電ステーションの維持・運用を行っているとのこと。
創業年:2019年
地 域:アメリカ
資 金:
2022年8月にWallboxという充電ステーション企業(NYSE上場)に買収された
株 主:
Wallbox
事 業:
同社は、充電ステーションをネットワークするのではなく、EV充電器の設置サービスを展開。COIL製の充電器を設置する常駐のサービスチームと、サードパーティ製の充電器を設置する外部パートナーチームから構成される。
創業年:2014年
地 域:アメリカ
資 金:
2022年8月にSKという韓国のエネルギー企業に買収された
事 業:
同社は、法人向けに特化した充電ネットワークサービスを提供。電力会社、不動産会社、商業施設等と提携し、充電器の設置を進めている。技術的な強みは、電力負荷制御にあり、一箇所の充電ステーションに多量の充電器を設置しても負荷を超えてしまうことなく維持・運用ができるという(コンセプトはCentury Yunanに類似)。
創業年:2001年
地 域:オーストラリア
資 金:
2022年1月にNASDAQ上場(2023年7月27日時点で、1億7,300万ドル(≒240億円)の時価総額)
上場後の直近資金調達ラウンドは2022年9月
株 主:
アメリカのVC、Palantir Technologies等
事 業:
同社が独自開発する急速充電器には、マイクログリッド設計を採用していることから、最小限のサイズの充電器で、高い充電出力を維持することが可能。家庭向け・法人向けに、幅広い出力サイズの充電器を販売している。
ホームページによると、2023年7月時点で、42カ国以上で1万台以上の充電器を販売した実績がある。
創業年:2018年
地 域:アメリカ
資 金:
累計11億ドル(≒1,540億円)調達
直近ラウンドは2022年9月
株 主:
アメリカのVC
事 業:
EVトラック等の車両をまとまったロットで保有する企業向けに、大規模な充電センターを建設する。他社に見られるような、小規模分散型の充電ステーションをネットワークするアプローチではなく、大規模集中型の高出力充電センターである。不動産の取得から充電ステーションの建設まで一貫して手がけ、主に大都市圏、主要幹線道路、物流拠点に物件を有している。
創業年:2020年
地 域:デンマーク
資 金:
累計5,000万ユーロ(≒78億円)調達
直近ラウンドは2022年9月
株 主:
ヨーロッパの環境・エネルギー系VC
事 業:
充電ステーション運営事業者には充電ステーション管理ソフトウェアを、そしてEVユーザーには充電ステーション検索・決済が行えるアプリを提供している
充電器の設置・ステーションの維持・運営サービスは、パートナー企業が提供している。
2022年9月の資金調達ニュースによれば、デンマークを中心に充電ステーションネットワークを増やした同社は、今後調達資金を用いてアメリカ・イギリス・ドイツでの展開を加速させるそう。
創業年:2014年
地 域:日本
資 金:
累計2億7,000万円
直近ラウンドは2022年10月
株 主:
日本のVC
事 業:
EV用普通充電器「Ella」「Nagiya」を展開する企業。
2021年3月にリリースされた「Nadiya」は、当時の国内最高出力となる8kW普通充電器となった。
創業年:2019年
地 域:アメリカ
資 金:
累計6,000万ドル(≒84億円)調達
直近ラウンドは2022年10月
事 業:
同社は急速充電器を提供し、ネットワーク化している。アプリを通じて、EVユーザーはステーション検索・決済することができる。
2022年10月の資金調達ニュースによれば、Loopはその時点で約7,000以上の充電ステーション販売実績があるそう。
創業年:2012年
地 域:オランダ
資 金:
2014年にアムステルダム市場に上場(2023年2月27日時点で5億7,000万ユーロ(≒890億円)の時価総額)
上場後の直近資金調達ラウンドが2022年10月
事 業:
高速道路や幹線道路に沿って最大出力350kWの超急速充電器ネットワークを展開。ヨーロッパの充電ステーション市場に最も早く参入した企業の1つ。
創業年:2015年
地 域:中国
資 金:
直近ラウンドは2022年11月
事 業:
中国全土をカバーする充電ステーションネットワークを展開。欧米の競合他社に比べて幅広い製品ラインナップを有するのが特徴。また、国家規格やEU規格を満たした製品を展開しており、今では40以上の国や地域に輸出されている。
2022年11月のニュースによれば、同社は中国国内に約3.000箇所、海外でも約3,000箇所に充電ステーションを設置している。
創業年:2015年
地 域:日本
資 金:
2020年に東京マザーズ市場(現グロース市場)に上場(2023年7月27日時点で約400億円の時価総額)
上場後の直近資金調達は2022年12月
事 業:
2021年に充電ステーション事業に参入。同社は国内EV充電設備の課題を2つ(充電器の出力kW数が低いこと、マンション充電の普及が遅れていること)定期し、それぞれにアプローチしている。
同社の2022年度決算資料によると、国内の既設充電器の中で6kW以上の出力を持つ設備は全体の0.3%しかなく、ほとんどが3kW出力であるという。本レポートでご紹介した欧米・中国の企業を見ても、世界の普通充電器のスタンダード出力は6kW以上、急速充電は100kW以上となっており、同社はまず6kW充電器の普及を急いでいる。
同決算資料によると、同社は2022年9月待つ時点で累計約1,500台の受注・設置が進んでおり、2023年6月までに3,000台まで増加させる見込み。
(Source: https://finance.logmi.jp/377644)
Huineng Charging
創業年:2016年
地 域:中国
資 金:
直近ラウンドは2022年12月で2億4,000万元(≒47億円)を調達
株 主:
中国のVC、Hier Capital(家電メーカーHierのCVC)等
事 業:
同社は、「目的地充電」と言われる、住宅・オフィスビル・商業施設・ホテル等のEVが長時間停車する場所における充電に特化したステーションネットワークを展開。
充電器ハードウェアとセットで、充電ステーションの遠隔監視・故障診断・修理手順書発送を自動で行うソフトウェアを提供。
2022年のニュースによると、その時点で中国25都市以上に展開し、4万台の充電器が稼働しているとのこと。深圳のランドマーク施設の95%は同社と契約している。
創業年:2018年
地 域:日本
資 金:累計2億4,000万円調達
株 主:情報なし
事 業:
マンション・オフィスを中心にEV充電設備の設置を進める。特に、首都圏の集合住宅をターゲットにしている。
2022年12月に三菱商事株式会社と資本業務提携を締結し、アライアンスを軸に拡大戦略を計画。
創業年:2018年
地 域:日本
資 金:
累計7億円調達
直近ラウンドは2023年1月
株 主:
日本のリース会社(JA三井リース、三井住友ファイナンス&リース、東京センチュリー)
ブイキューブ(Charge+にも出資)等
事 業:
急速充電器「PLUGO RAPID」と充電予約アプリ「Myプラゴ」を提供しているが、同社は「グリーン充電」というコンセプトで、再生可能エネルギー由来の電力のみを取り扱う。
また、同社は充電器の普及には、充電器の外観が都市になじむようなデザインになっていることが重要であると考え、筐体の意匠にこだわっている。
急速充電器「PLUGO RAPID」は最大出力電力50kW。2022年12月には最大出力電力6kWの普通充電器「PLUGO BOX」も開発した。
2023年7月に、ニトリホールディングスやヤマダデンキにおける導入が発表された。ミニストップでも3店舗されているとのこと。
創業年:2018年
地 域:ブルガリア
資 金:
累計1,300万ドル(≒18億円)調達
直近ラウンドは2023年1月
株 主:
ブルガリアのVC、BMW i Ventures等
事 業:
家庭向け・法人向け・物流サービス事業者向け、幅広いユースケースをカバーするEV充電器プロバイダー。企業・自治体等の顧客に、カスタムメイドな充電ステーションの建設・保守・管理サービスを提供し、ソフトウェアで充電器の遠隔監視・制御を可能にしている。
ホームページで公開された2023年1月のニュースによると、AMPECOは120社以上の顧客基盤を持ち、6万2,000台以上の充電器をネットワークしている。2023年1月、BMW i Venturesの出資を受け、北米展開をさらに進めるとのこと。
創業年:2018年
地 域:エストニア
資 金:
累計470万ユーロ(≒7億円)調達
直近ラウンドは2023年2月
株 主:
エストニアの元大統領であるKaljulaid氏やヨーロッパのVC等
事 業:
提供サービスが充電器ハードウェア・充電ステーション管理ソフトウェアという意味では他の類似企業と変わらないが、同社が強みを持つのはVool Hubと呼ばれる配電制御技術。過負荷になりそうなタイミングでソフトウェアが自動で配電制御を行う。
創業年:2014年
地 域:イギリス
資 金:
累計9,700万ドル(≒20億円)調達
直近ラウンドは2023年2月
株 主:
Zouk Capital(イギリスのPEで、後ほど登場するZestにも出資)等
事 業:
家庭向け・法人向けにEV充電サービスを展開。法人向けには、フリート(例えば、トラック・タクシー等、法人が所有する車両群)電動化を支えるインフラ整備をソフトウェア・ハードウェア両面から一気通貫で支援する。具体的には、コンサルティング(現在顧客社内で利用されている車両情報から、必要な充電ポイントのスペック・箇所数を分析・提案)、設置工事、充電ステーション管理ソフトウェア導入まで手がける。
顧客には、Amazon、DHL、Uber、Go-Ahead等の物流サービスを提供する企業が中心に並ぶ。
2021年9月時点で、ヨーロッパを中心に35ヶ国以上で、約5万台の充電器を配置していると言われている。First Growth Sustainable Growrh Corporationと合併する形でのSPAC上場を計画していたが、2022年3月に市況の悪化を理由に計画の撤回を発表。その後、2023年2月、北米展開も見据え、8,000万ドルの資金調達を実施。
(Source: https://www.eocharging.com/)
創業年:2021年
地 域:イギリス
資 金:
累計230万ドル(≒3億円)調達
直近ラウンドは2023年3月
株 主:
アメリカのVC
事 業:
創業年:2018年
地 域:インド
資 金:
累計6,700万ドル(≒94億円)調達
直近ラウンドは2023年3月
株 主:
インド、ヨーロッパのVC
事 業:
2023年3月時点で、同社はインドを中心に、1,500箇所以上の充電ステーションに3,000台以上の充電器を設置しているとのこと。今後は、2030年までに100万の充電器を設置する見込みを立てている。
2023年のシリーズA1ラウンドに続いて、2024〜2025年には追加で7,500万〜1億ドルを調達する計画とのこと。
創業年:2019年
地 域:日本
資 金:
累計12.7億円調達
直近ラウンドは2023年4月
株 主:
ENEOS、東京ガス等、日本のエネルギー会社に加え、オリックス・オムロン等
事 業:
「WeCharge」というEV充電ネットワークサービスを提供。駐車場、温泉施設、商業施設等に充電器を設置し、EVユーザーにはアプリを提供している。
2023年4月のプレスリリースによると、2022年には充電ポート数が600ポートまで増加し、2023年末には12,000ポートまで普通充電設備を拡大予定とのこと。
創業年:2016年
地 域:カナダ
資 金:
累計3,500万ドル(≒50億円)調達
直近ラウンドは2023年4月
株 主:
ABB Technology Ventures(スイスの電力関連メーカーのCVC)等
事 業:
同社は北米を中心に充電ステーションネットワークを展開する企業で、充電ステーションを管理するソフトウェアを提供している。
すでに充電ステーションを運営する事業者にはソフトウェア単体で、これから充電ステーション運営事業に参入する企業には、パートナー企業製の充電器にChargeLabのソフトウェアを組み込んだ形で提供する。
創業年:2010年
地 域:日本
資 金:
累計約83億円調達
直近ラウンドは2023年6月
株 主:
国内VC、大阪ガス、東京センチュリー、住友三井オートサービス等
事 業:
2022年4月にEV充電事業に参入。2023年6月時点でEV充電インフラの累計受注基数が4,700基を超えたとのこと。充電出力は3kW・6kW・50kWに対応。
創業年:2019年
地 域:アメリカ
資 金:
累計2,300万ドル(≒10億円)調達
直近ラウンドは2023年7月
株 主:
アメリカのVC
事 業:
Space X出身のエンジニアが設立。EV急速充電用のAI駆動ストレージシステム「PowerNode」を開発しており、コンビニエンスストアの急速充電ステーション化に力を入れている。
急速充電ステーションを建設しようとすると、グリッドからの受電工事が必要になるが、同社のストレージを用いると、工事を必要とせずに急速充電が可能になる。
これらの他にも充電ステーションに関連する事業を展開し、資金調達に成功しているスタートアップはきっとあるかと思いますが、今回は上記42社のご紹介といたしました。少しでもご参考になれば幸いです。
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