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Writer's pictureShingo Sakamoto

古くて新しい、金属オンラインマーケットプレイスの現在地と未来

Updated: Mar 1, 2023

2021年6月と7月、2つの似たようなスタートアップが資金調達を行いました。6月に調達したのが、アメリカのReibus International、7月がドイツのVanilla Steelです。どちらもB2Bの金属マーケットプレイスを運営しています。


マーケットプレイスとは、買い手と売り手が自由に集まり、商取引を実現させる場です。売り手が増えれば増えるほど、購入可能な商品の種類が増えるため買い手が集まり、買い手が増えれば増えるほど、販売機会を求めて売り手が集まってきます。B2Bマーケットプレイスは、この売り手と買い手がどちらも法人であるビジネスモデルです。


マーケットプレイスの歴史は古く、B2C・B2Bどちらも、インターネットのインフラが整ってきた1990年代後半から、さまざまなチャレンジが行われてきました。B2Cであれば、例えばAmazonや楽天市場、B2Bであれば、機械部品のミスミや間接資材のモノタロウなどが有名です。最近だと、C2Cマーケットプレイスも盛り上がっており、中古品のメルカリや、ハンドメイド品のクリーマなどが挙げられます。


今回は冒頭に挙げた、B2Bの金属マーケットプレイスにフォーカスして、なぜこのタイミングで、似たようなスタートアップが2社、資金調達することができたのか?それがどういう意味を持っているのか?という考察をしていきます。


(Source: https://pixabay.com/photos/steel-coil-warehouse-4395773/)




資金調達を行ったスタートアップのご紹介


まずはじめに、今回資金調達を行ったReibus International、Vanilla Steelというスタートアップ2社の概要およびマーケットプレイスについて見ていきます。


Reibus Internationalは、2018年末にアメリカ・ジョージア州で創業。主に、製造業・輸送業・建設業で用いられる鉄鋼製品のマーケットプレイスを運営しています。プライム材(顧客の要求スペックを満たしているもの)、余剰プライム材(ロットの問題で余ってしまったプライム材)、非プライム材(品質や外観に問題があり、プライム材としては販売できないが、グレードを落とせば販売できるもの)を扱っています。


ホームページを参考にしながら、Reibusが運営するマーケットプレイスの仕組みを理解していきます。


【買い手】

  • 買い手には、鉄鋼製品から二次加工品や最終製品を製造するような事業者が集まっています。大規模なグローバルメーカーから、中小規模のローカルメーカーまで、幅広く存在するようです。

  • まず、買い手は、見積依頼書(RFQ=Request for Quotation)をマーケットプレイス上で作成し、アップロードします。すると、これに反応した売り手候補から、見積額の提示が行われます。買い手は、提示された見積額に対して、カウンターオファー(逆に、これくらいでできませんか?という提示)ができます。買い手が納得すると、ディールが成立します。ディールが成立するまで、買い手・売り手ともに匿名でやりとりを行います。

  • この競札プロセスに、ちょっとした便利な機能が仕組まれています。買い手が、ある売り手と交渉する過程で提示するカウンターオファーが、常に他の売り手にもアップデート表示されるようになっているのです。買い手が、売り手Aから1トン30,000円の見積を提示され、それに対して買い手が1トン25,000円でカウンターオファーした場合、売り手B・売り手Cは、最初から25,000円未満で提示することになります。これによって、買い手が複数の売り手と同時交渉するコミュニケーションコストが削減されます。

  • また、カスタマーサポートにも力を入れています。売り手候補から最初の見積額提示が行われた瞬間から、買い手にはサポートスタッフが付き、ディールが成功するよう徹底的にサポートします。ディールが成功すると、運営側が輸送の手続きを行ってくれます。輸送会社を手配することもあれば、(買い手が希望すれば)買い手が引取りに行くことも可能です。

  • このような競札によるディールもあれば、一般的なマーケットプレイスのように、売り手が掲載した鉄鋼製品を検索し、購入するディールもあります。


【売り手】

  • 売り手には、大規模な鉄鋼メーカーや、鋼材卸売業者が集まっています。こちらも、買い手と同じく、大規模なグローバルメーカーから、中小規模のローカルメーカーまでさまざまな規模の事業者から構成されています。

  • 売り手は、まず会社アカウントを登録すると、在庫リストを送ることになります。どんなフォーマットでもよいと書かれているため、各社それぞれ独自のフォーマットで販売可能な製品在庫リストを運営に共有します。すると、運営側が掲載までしてくれるようです。

  • 買い手が見積依頼書がアップロードすると、運営側から売り手に通知が飛んできます。売り手がこれに見積額を提示すると、交渉が始まります。ディールが成立した瞬間、売り手にサポートスタッフが付き、運営側が、製品購入手続き・支払い・輸送手続きまで行います。ディールの成立から着金まで、最長でも1ヶ月以内と書かれていますが、平均1〜2ヶ月の売掛金回収期間と言われている平均的な産業に比べて、製造業は着金まで時間がかかると言われていることを考えると、1ヶ月以内の着金は、売り手にとって助かるのではないでしょうか。


マネタイズは、売り手に対するサブスクリプション課金によって行っています。掲載商品が増えるごとに、月額も上がっていく仕組みになっています。


2020年11月のニュースを見ると、Reibusは過去1年間(2019年11月〜2020年11月)で組織規模を3倍に拡大しており、エンジニア・BizDevメンバーを次々と採用しているそうです。増加する売り手・買い手のカスタマーサポートを整備するために、企業アカウントチームを設立しています。


2021年2月のニュースからは、なぜいまこのマーケットプレイスが必要とされているか、という背景が読み取れます。アメリカの鉄鋼業界は、トランプ大統領が主導して2019年に制定した通商拡大法232条による海外製品追加関税によって守られてきましたが、2020年から本格化したコロナウイルスで打撃を受けました。需要が一気に落ち込み、製造を休止する鉄鋼メーカーもありましたが、2021年に入って急速に自動車業界を中心に、急速に需要が回復したことで、鉄鋼メーカーの立ち上げが遅れ、需要に対して供給が追いつかない、という状況が生じました(ちなみに、日本でも同じような現象が起きました)。そんな中で、これまで単一の売り手に依存していた買い手は、Reibusのマーケットプレイスを通じて、他の売り手と取引する機会を獲得することができたようです。


そして、2021年6月には、2019〜2020年のシードラウンドに続いてシリーズAラウンドを実施し、2,000万ドル(≒22億円)調達しています。シリーズAラウンド実施時のニュースによると、評価額は約1億ドル(≒110億円)と言われています。



Vanilla Steelは、2020年5月にドイツ・ベルリンで創業。幅広いグレードの製品を扱うReibus Internationalとは違い、余剰プライム材と非プライム材に特化したマーケットプレイスを運営しています。基本的な仕組みはReibusと同じです。


共同創業者である、Alexis Ducros・Clifford Ondara・Matthias Affeldt・Simon Zühlkeの4名が、ティッセンクルップレジデンスプログラム(ドイツの鉄鋼メーカーティッセンクルップ社が提供する、一定期間滞在しながらリサーチやディスカッションを行うプログラム)で出会い、Vanilla Steelのビジネスアイディアを思いついたことが、創業のきっかけです。


2021年現在、すでにヨーロッパ・中東・北アフリカ(EMENAEurope, Middle East, North Africaと表現することがあります)地域を中心に、100社以上の売り手が登録しているそうです。


Vanilla Steelのマーケットプレイスは、売り手の在庫にまつわるペインにフォーカスしているのが特徴です。鉄鋼業界が抱える難しさの1つに、この「在庫問題」が挙げられます。背景には、注文ロットと生産ロットが必ずしも一致しないことが関係しています。例えば、100トン生産可能な炉で鉄をつくる場合、その100トンは同じ成分になります(例えば、炭素〜%、マンガン〜%のように)。一方で、必ずしも100トン単位で買い手から注文が入るわけではありません。例えば、買い手から80トンだけ欲しいという注文が入ると、20トン(100トン−80トン)は在庫として、倉庫で眠ることになります。


また、ロットの不一致以外でも、在庫が発生するリスクはあります。例えば、取扱いの中でついたちょっとしたキズが理由で出荷できないこともあります。研磨してリカバリーできる場合もありますが、プライム材として正規顧客には販売できないケースもあります。その場合、いったん在庫として持っておき、低級グレード品の注文が入った時に振り当てる、という対応をすることがあります。


在庫が膨れれば、いつかは工場のキャパシティをオーバーし、最悪の場合、スクラップとして処理することもあります。Vanilla Steelは、このペインを解決しようとしています。売り手は、在庫が発生したらすぐにVanilla Steelのマーケットプレイスに掲載し、売り手が設定した最低価格以上で入札した買い手とマッチし、ディールを成立させることができます。その後の輸送管理は、Reibus同様、運営側が代わって行ってくれます。


Vanilla Steelは、2021年7月に、シードラウンドで400万ドル(≒4億円)を調達しました。



続々と現れる金属材料マーケットプレイススタートアップ

実は、他にも金属材料マーケットプレイスを運営するスタートアップはいくつもあります。


例えば、2019年アメリカ・オハイオ州で創業されたFelux。同社は鉄鋼製品・アルミ製品のマーケットプレイスを運営しています。ホームページを確認してみると、利用方法はReibusとほとんど同じです。買い手が見積依頼書をマーケットプレイスにアップロードし、売り手が提示する価格・数量を見て、ディールするか決めていきます。


Feluxは、すでに売り手として多数の鉄鋼メーカーが登録していますが、その中に、以前ご紹介したBig River Steelも含まれています。Big River SteelにとってのFeluxがどのような価値を持つのか読み取れる事例が載っていたのでご紹介します。以下、事例の要約になります。


Big River Steelは、亜鉛めっき、冷間圧延品、熱間圧延、高強度鋼など、幅広い製品ラインナップを有しています。

同社は、翌年の生産計画を毎年秋(9月ごろ)に策定しています。2014年の創業以来、事業が順調に伸びていたこともあり、2020年の生産計画においては、生産量の75%を数量ベースの契約で固めようとしていました。しかし、コロナウイルスの発生で、石油・ガス業界の顧客と契約がうまく締結できなくなってしまいました。結果、事前に契約で固まっていないスポット注文の比率が、当初計画よりも増えることになりました。スポット注文は、製品構成や数量など、その時々で変動が大きく、スポット注文比率の増加によって、生産計画の見通しは難しくなります。

そこで、Feluxに余剰生産能力を掲載することにしました。それによって、新規顧客の確保にかかる手間の削減と、生産計画調整の効率化ができました。Big River Steelは、これから、Feluxとの連携を重要施策の1つとして、専任者を配置して強化していきます。

この「将来生産能力を掲載することができる」というのがFeluxの特徴の1つになります。売り手は、契約で固まっていない時期の生産計画見通しをつけるため、「この時期、こんなものを、これくらい作れますよ」という製造キャパシティを掲載し、買い手を効率的に見つけることができます。


この他にも、カナダで2019年に創業されたThe Steel Store、インドで2016年に創業されたSteelonCall、同じくインドで2017年創業のVirtual MetalStreet、ドイツで2016年に創業されたMetalshubなどは、どれも多少の違いこそありますが、似たようなモデルで事業を展開しています。



金属マーケットプレイスの価値


こうして、いくつかのスタートアップを見ていくと、勝負になりそうなポイントが少しずつ見えてきます。


B2Bマーケットプレイスは、幅広い商流を持ち、情報の非対称性を武器にしてきた仲介業者(卸売業者や商社など)をリプレイスする可能性を秘めていますが、買い手・売り手が、仲介業者を利用するメリットを残しながら、デメリットをリカバリーすることが重要になります。


改めて、買い手・売り手が、仲介業者を利用するメリット・デメリットを整理し、近年の金属材料マーケットプレイスのアプローチを考察してみます。


仲介業者を利用するメリット

  1. 販売・購入どちらも、取引にかかる煩雑な手続きを担ってくれることで、買い手・売り手の負担が軽減される。 マーケットプレイス運営側による、煩雑なオペレーションの請負によってこの機能を残すことができます。どのマーケットプレイスを見ても、「ディール成立以降はプラットフォーム運営側で支払い管理や輸送調整を代行する」となっています。また、カスタマーサポートチームを用意し、ちょっとした疑問や心配事に、クイックに対応できる体制を作っています。

  2. 1メーカーのネットワークを超えた販路を通じて、取引機会を拡大できる。 取引機会の拡大こそ、インターネットが持つ強みの1つです。買い手・売り手ともに、わずか数クリックでマーケットプレイスに登録することができ、これまで仲介業者が握っていたネットワークを、インターネット上で透明かつ大規模に再構築し、N:Nの状態を生んでいます。


仲介業者を利用するデメリット

  1. 決して利幅が大きくない鉄鋼製品に対して、製品トンあたりいくらという形で課金される手数料が高い。 →手数料について、まだ確かな情報がつかめていないスタートアップが多く、断定することはできません。一方で、1人のカスタマーサポートが1社に張り付いて対応するのに比べると、オンラインマーケットプレイス上で同時多発的にさばく方が、効率性は上がるため、手数料を安く抑えることができるのではないかと思います。

  2. メリットの裏返しでもありますが、取引機会の大きさは、商社のネットワークの広さに依存します。 買い手・売り手は、商社のネットワークに依存しない、グローバルなネットワークに入り込むことができます




実は歴史の古い金属マーケットプレイスから学ぶ教訓


現在、順調に成長しているように見える、金属マーケットプレイスですが、実は過去にチャレンンジした先輩スタートアップが、辛酸をなめています。ここからは、過去にトライした事例をご紹介し、そのうえで今後の可能性を考察していきたいと思います。


メタルサイトとeスチール

モノタロウの創業者である瀬戸さんが、創業2年後の2002年に寄稿しているブログで、示唆に富んだ洞察を行っていますので、少し紹介させていただきます。


瀬戸さんによると、「インターネットによって、誰もが安価に情報を手に入れられるようになり、情報の不均衡を生業にしてきた商社の存在価値が縮小する」という危機意識は、1999年頃にすでに存在していました。そんな中、アメリカで、日本に先んじてB2Bマーケットプレイスが立ち上がりました。その代表例が、アメリカの鉄鋼マーケットプレイスである、メタルサイトとeスチール。


メタルサイトの創業は1998年。Bethlehem Steel・Steel Dynamics・Weirton Steel・U.S. Steelなど、名だたる鉄鋼会社から出資を受けて大きな注目を集めました。メタルサイトは、鉄鋼業界の硬直的サプライチェーンを改革すべく、買い手・売り手に取引機会を提供するオンラインマーケットプレイスを構築。


同じ時期に現れたのがeスチール。ビジネスモデルはメタルサイトとほぼ同じである一方で、eスチールはメタルサイトと異なり、鉄鋼会社が投資家陣に全く入らず、完全中立なマーケットプレイスであることを謳い文句にしました。


メタルサイトやeスチールだけではありません、同じ時期に、ポコポコと新しい金属マーケットプレイスが現れました。2000年にアメリカ・ジョージア州で創業された、アルミニウムのマーケットプレイスMetalSpectrum。アメリカだけでなく、ヨーロッパでもこういった動きがありました。スウェーデンのSteelscreenは、アメリカ勢に対抗すべく、ヨーロッパに特化して鉄鋼取引を可能にするマーケットプレイスを作りました。まさに今と似た動きが起きています。


失敗した金属マーケットプレイススタートアップ

大きな盛り上がりを見せた金属マーケットプレイスの波は、短命に終わりました。メタルサイトは2001年6月に、無期限の業務停止に突入。e-スチールは、海外にも拠点をつくり安定的に規模を拡大させましたが、(現在検索してもほとんどヒットしないように)立ち消えになりました。MetalSpectrumは、一時期80人以上の従業員を抱えましたが、わずか1年で倒産。


これらの倒産の背景には、2つのマクロ要因が関係していると言われています。1つ目の要因は、アジア危機を1つのきっかけとする鉄鋼業界の不況1999年から2001年の2年間で、アメリカの18社の鉄鋼会社が破産したそうです。マーケットプレイスの売り手が大きなダメージを受けたことで、そもそもマーケットプレイス上に製品が出回らなくなってしまいました。もう1つの要因が、ネットバブルの崩壊。2000年をピークにインターネット系スタートアップに供給されるリスクマネーが絞られました。メタルサイトの鉄鋼マーケットプレイスには2億ドル相当の流通があったものの、事業継続に必要な資金を調達することができず、倒産しました。



しかし、約20年経過し、当時から状況は変わりました。鉄鋼メーカーは、度重なる不況を経て統廃合が進み、巨大化しました。簡単に潰れるような状態ではありません。いまなら、金属マーケットプレイスのビジネスモデルが持続的に成立する、と投資家が信じていることが、前半にご紹介したスタートアップの資金調達状況からも窺えると思います。


実際、現在も続くコロナウイルスの蔓延は、鉄鋼メーカー各社に大きな打撃を与えましたが、今では需要が回復し、業績を持ち直しています。


20年の時を経て復刻なるか?

また、こういったマクロ環境の変化に加え、テクノロジーの進化と、マーケットプレイス運営ノウハウの蓄積が、2000年当時と違います。


ここからは仮説になりますが、調べるかぎり、当時のマーケットプレイスが果たしていた機能は、あくまで「取引機会の提供」に過ぎず、マーケットプレイス上で完結する取引は実現できていなかったと思われます。買い手・売り手がマッチングしたとしても、連絡を電話やメールで行ったり、ある会社と交渉が決裂したらまた違う会社とゼロから交渉し直さなくてはならなかったり、ディールが成立しても輸送管理に手間がかかる、など。


現在のスタートアップ各社がやっているように、適切に買い手・売り手の間に介入していかないと、徐々に買い手・売り手ともに、オペレーションが面倒くさくなっていきますが、全てを人の手で細かくやろうとしすぎると、マーケットプレイス運営者の負荷も大きくなっていってしまいます。


いまであれば、画面を開いてからディールの成立まで、わずか数クリックで、数分で終わる体験や、ディール後の支払い管理・輸送管理まで全てシームレスにつながった体験を構築できる素地が整ってきています。大量のデータを高速で裁くデータベース技術、買い手・売り手にストレスを感じさせないユーザーインターフェース技術、APIを用いたシステム連携技術など、この20年間で積み上がってきた技術の結晶が、それを可能にしています。



最後に、さらなる発展のために、必要になるであろう視点を考察して、終わりたいと思います。

  • 環境文脈 これからの重厚長大なものづくりには、環境配慮の文脈が必要になってきます。そして、業界全体の意識づけをしていくうえで、プラットフォーマーが大きな役割を担っています。デジタルフォワーディングプラットフォームについての記事でも言及しましたが、製造・輸送プロセスで温室効果ガスを排出する製品に対して課金する、という動きは、金属プラットフォームでも、出てくるのではないかと思います。

  • データ連動 さらに顧客体験を向上させるために、もっともっとデータがつながった世界が理想的です。例えば、在庫が発生した瞬間に生産管理システムから自動でマーケットプレイスにデータが繋がる、生産計画を作成した瞬間に将来の余剰生産能力がマーケットプレイス上に掲載される、など。そのためには、データやシステムのつなぎこみ、という部分に存在する障害を取り除く技術が必要になるかもしれません。

  • ロジスティクス メーカーとしては、在庫(戦略的に持つもの以外)をできる限り早く工場から外に出したいわけですが、自ら倉庫を持ってこの在庫を受け入れ、それを高速で売りさばくマーケットプレイスが出てくるかもしれません。一気に経営が難しくなりそうですが、売り手の理想的なユーザー体験からすると、こちらの方が嬉しいはずです。例えば、取引データが溜まってくると、どの地域で、どんな製品が取引されやすいのか、という傾向が見えてきます。すると、需要が生まれるタイミングと製品スペックに関する予測精度が上がり、マーケットプレイス側で在庫を集約することに価値が生まれる可能性もあります。


今回はこれで以上になります。最後の部分は、あえて突っ込んで、理想的な姿を想像して書いてみました。当然、金属だけでなく、プラスチック、ガラスなどさまざまな専門マーケットプレイスが出てきますが、コアな部分は類似する点があるはずです。これから、こういったB2Bマーケットプレイス領域で起業を考えている方、興味がある方は、ぜひご連絡ください。


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